例えば。
鳥が優雅に飛んでいるとき。
例えば。
小さな子どもの泣き声が聞こえたとき。
例えば。
とてもとても背の高い人を見かけたとき。
例えば。
大っ嫌いな虫を見つけたとき。
ついつい、目で追う。それはただ自然と、無意識に。聞こえた音を、触れた温度を、見つけた色を、把握するために視界が動く。犬が動いてるものを追いかけるのと同じように。きっと、これは生き物の習性。
だから。
「お前、見すぎ。惚れてんの?」
「自惚れんな、バーカ」
この見慣れた笑顔が頻繁に視界に映るのは、そういうこと。自然の摂理。生存本能。未確認であることを拒む、心臓の訴え。
だけど。
世界から外す程、嫌ってはいないんだよ。
なんてことを、伝えようとも思わなかった。
【好きじゃないのに】
3/25/2023, 1:45:35 PM