頼りないと嘲った
近寄る勿れと拒絶した
刃を向けて脅かした
あなたは変わらず微笑んだ
どうして、どうして、どうして
怒ればいいのに
憎めばいいのに
そんなだから薄っぺらいんだ
守れなかった過去
容易く落ちる細い首
諍いは坂を転がる小石のように
あなたはそれでも微笑んだ
懐かしむ瞳に恥の色はなく
ただ私の浅ましさを映し出す
見ないで、聞かないで、私をこれ以上
知らないで、暴かないで
繰り返される罵倒の投石すら甘んじて受け入れる
あなたのことが羨ましかった
泣いてもいいのに
震えながら弱音を吐いてしまえばいいのに
憐れむでもなく、侮るでもなく
あなたは私だけを見つめていた
ひたむきと言うには暑苦しく
いじらしいと言うには小賢しい愛だったけれど
確かに受け取った襷を肩に掛け
次の希望へ託すまで
息を切らして汗まみれで、汚れてしまっても私は走ろう
背中合わせの温もりが忘れられなくて
父のような小言の嵐がまだ聞こえているけれど
あなたから旅立ち、雨降る小道で傘を譲る
同じ輝きはきっと宿らないけれど
この小さな一歩、荒い鼻息と共に踏み出した人生を
いつかきっと微笑んで聞いてくれるよね
(手放す勇気)
5/16/2025, 12:26:27 PM