かまぼこ

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彼女は昔から眩しい女だった。
どこまでも深いが艶のある黒髪に、白いワンピースまでもが濁って見えるほどの白い肌。
何よりも、相手の視線を確かに捉えるその瞳。

その美しさは、彼女が死ぬ直前になっても衰えることはなかった。もうあの黒髪の面影は無くなってしまっているけれども。
彼女は最後の僕の病院訪問の時、言った。
「私が死んでも、この目は開けたままにしておいて。きっと、神様はこの目を見たがるから。」
僕は涙を堪えた。

きっと、彼女はあの世でも眩しいんだろうな。

8/1/2025, 9:20:14 AM