「雨上がり」
静かに残る ぬかるんだ足跡
誰かが黙って 真実を拾い上げた
濡れたシャツに まだ冷たさが残るけど
あの嘘も たぶん優しさだった
争いは風にさらわれて
言い合った言葉さえ 霞んでいく
勝たなければ 守れなかったものと
負けたから 気づけたものとが 溶けあう
完璧を描いた絵は
雨に滲んで 輪郭を失った
けれど そこに浮かんだ色は
なぜだか 少しだけあたたかい
雲の切れ間から
ほんのすこし光が射す
戻れなくてもいい
この濡れた地面の上に 新しい一歩を描こう
6/2/2025, 5:48:16 AM