箱庭メリィ

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『ねぇ、今日もそっち行っていい?』

寂しがりの女の子から来たメール。
俺は一も二もなく『いいよ』と返信した。

寂しがりの女の子は、俺の家に泊まる代わりに自分を提供する。
俺はしょうがないなといった風に彼女を抱き、その寂しさを埋めてあげていた。

金も友情もない、ただの寂しさを埋めてあげるだけの行為。
そんな関係が続いて一年が経った頃。

いつからか、寂しがりの女の子から連絡が来なくなっていた。
それに気づいたのは、クリスマスの曲が街に流れ始める12月のある日だった。

最近連絡が来ないなと思っていたが、そのことに気付き苛つきにも似た感情を覚えた時に自覚した。
寂しがりだったのは、俺のほうだったのか。


/11/10『寂しくて』



「これ以上はこちらに入ってこないで」

少し深い会話をすると出てくる、私の心の境界線ちゃん。

深堀りしようと話される会話はちくちくと心の扉をノックする。
私はそれ以上聞かれたくなくて曖昧な返事をするが、相手が納得して引いてくれることは半々。

今日も曖昧に濁して顔だけ笑いながらなんとか逃げ道を探す。

境界線ちゃんは懸命に両手を広げて立っている。


/11/9『心の境界線』



僕には透明な羽根が見える。
君の背中に生えている透明な羽根。
僕だけにしか見えない羽根。
いやもしかしたら、他にも見えてる人がいるかもしれない。

そう思ってもらえるのはやぶさかではないけれど、出来れば他の人には見えてほしくないな。

天使のような彼女に映える透明な羽根。


/11/8『透明な羽根』

11/11/2025, 8:35:53 AM