俺は叫んだ。
額に汗して。
涙を流して。
煙に巻かれながら。
熱にこらえながら。
貴女へ届く様に。
声が枯れるまで。
そう。
必死に、叫んだつもりだった。
けれども。
その喉を震わせ、鼓膜を伝い届く筈の俺の声は、風の様に、惟々、空を切るばかりで。
目の前に横たわる貴女は、目を覚さない。
どうしよう。
どうしよう。
どうしよう。
今起きないと、
貴女は、貴女は。
---------おふくろ…おふくろ…火事だ…火事だ…!!
こんなに絶叫しているのに。
こんなに懇願しているのに。
こんなに、悔いているのに。
どうして俺は、貴女より先に逝ってしまったのだろうか。
10/22/2023, 8:00:36 AM