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彼と夜を過ごす。
夜は隠れることができるから好きだ。 
今日一日を彩った予定達も底を尽き、それでもお互いの言葉はなくまだ川沿いを歩いている。
同じクラスの彼と太陽以外を共有できるのは私の特権だ。
まだ私達は背景になれない時間。オレンジ色と紫が混じり合ってそれはそれでロマンチックだ。
同じ時間を過ごして、手を繋いで、思い出すだけでふわふわした気持ちになる。
でもまだ明るさに負けている気がして、欲張りたくなる。
あと一度だけ、動悸が欲しい。彼の恋を私に伝えて欲しい。
お互いがきっと同じ気持ちでこの道を歩いている。
それでもまだ恋愛初心者の私達には勇気が足りない事にも気付いている。
現に理由も会話もなく増える距離がそれを証明している。
これ以上を願うにはこの季節は日が長く、この期待と心拍数を落ち着けるには日は短かった。
それでも彼が私に触れる勇気と、恋の楽しみを知るには最良の季節だ。

『秋恋』

9/21/2024, 5:39:15 PM