誰だもが知らずの語り屋

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パラレルワールド.【ジャング︙恋愛.少し不思議】

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第一章:トンネルの向こう

秋の夜風が制服の裾を揺らす。
蒼真は、自転車でいつもの帰り道を走っていた。
部活帰りの疲れ、落ち葉の音、そして近道の古びたトンネル。

けれどその夜、トンネルの中ほどで空気が変わった。
風が止み、音が消え、出口の先に広がる街並みが、少しだけ違っていた。

そして、彼女がいた。

「貴方は誰?」

制服姿の女子高校生──陽葵。
その瞳には、怯えと警戒、そしてどこか懐かしさが宿っていた。

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第二章:違和感の種

蒼真は違和感を覚えながら、陽葵と話す。
コンビニがない。駅名が違う。制服のデザインも微妙に違う。
彼女の話す“日常”は、蒼真の知っている世界と少しずつズレていた。

「……アレ……?」

全部が“ほんの少しだけ”違う。
それが逆に怖かった。

「うち来る?」

陽葵の提案に、蒼真は頷いた。
スマホの地図はバグったまま。帰り道がわからない。

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第三章:知らない湯気、知らない朝

陽葵の家。見慣れない家具。見知らぬ匂い。
湯船に沈みながら、蒼真は思う。

「……俺、いつも通り帰ってたよな……」

けれど、出てきた先は少しずつ違っていた。
風呂から上がると、陽葵が毛布を持ってきてくれた。

「今日はここで寝て。朝になったら、道わかるかもね」

──そして、朝。

蒼真は目を覚ます。
そこはコンビニの前だった。
制服姿のまま、地面に座り込んでいた。

陽葵の家はない。
あの夜は、夢だったのか?

けれど、胸の奥には確かに“何か”が残っていた。

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第四章:冬のトンネル、再び

それから3年。
蒼真は社会人になり、スーツ姿でトンネルを訪れる。

出口に差し掛かった瞬間、風が止んだ。
そして、誰かが立っていた。

「……陽葵?」

「……蒼真……?」

スーツ姿の2人。
3年前の夜と、今の夜が、静かに重なっていた。

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第五章:重なる日々、変わる心

蒼真と陽葵は、彼女の世界で共に暮らすようになった。
同じアパート、同じスーパー、同じ夜道。
最初は違和感だったはずの世界が、いつしか日常になっていた。

「こっちでずっと一緒にいられたらいいのにね」
「……もう、戻る理由が見つからない」

そして春。
2人は並んで歩いていた。スーツ姿で、手を繋いで。
それは、未来を選んだ証だった。

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第六章:目覚めの朝、戻った世界

目を開けると、天井が違っていた。
見慣れた部屋。見慣れた街。
陽葵の世界は、消えていた。

けれど、机の上にはメモが残っていた。

> 「また、風が止んだら。陽葵」

“あの一年”は、確かに存在していた。
そして、また風が止む日が来るなら──
その時、もう一度会える気がした。

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第七章:名前のない再会

会社に出勤すると、上司が言った。

「今日から転部してくる子がいるから、よろしくな。綾小路君って言うんだけど──」

振り返ると、そこに立っていたのは──陽葵だった。
名札には「綾小路 陽葵」。

「はじめまして。綾小路です。よろしくお願いします」

彼女の瞳は、どこか懐かしくて、けれど“知らない人”のようでもあった。
そして、ほんの少しだけ微笑んだ。

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第八章:名前を呼ぶ声

外回りの帰り道。
背後から声がした。

「……蒼真君、だよね?」

振り返ると、陽葵が立っていた。
会社では“綾小路”として振る舞っていた彼女が、今──名前を呼んだ。

「ごめん、急に……でも、なんか……懐かしい気がして」

蒼真は、その手を握った。
指先が触れた瞬間、“あの一年”が静かに蘇った。

信号が青に変わる。
2人は、手を繋いだまま歩き出す。

風が止んでいた。
そして、世界が静かに重なっていた。

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第九章:風が止んだ日

春の午後。
教会の前庭には白い花が咲いている。
スーツ姿の蒼真と、純白のドレスを纏った陽葵が並んで立っていた。

「……本当に、ここまで来たんだね」
「うん。風が止んだ日から、ずっと」

指輪の交換。誓いの言葉。
けれど、2人にとって大事なのは──ここに至るまでの“全部”だった。

「もしまた、風が止んだら──どうする?」
「その時は、また君を見つけるよ。何度でも」

風は吹いていた。
けれど、もう何も揺らさなかった。

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最終章:風のない午後

夕暮れのリビング。
蒼真と陽葵は、ソファに並んで座っている。
陽葵の膝の上には、小さな手。
2人の子ども──笑顔は陽葵にそっくりだった。

「ねえ、パパ。トンネルってこわい?」

「ううん。こわくないよ。むしろ、すごく大事な場所だった」

陽葵は、隣で静かに微笑んでいる。
その笑顔は、あの夜も、あの世界も、そして今も──変わらない。

「風が止んだ日──君が生まれたんだよ」

その夜、少年は夢を見た。
古びたトンネル。
深い空の色。
そして、誰かが──彼の名前を呼ぶ声。

物語は終わった。
けれど、風が止むたびに──また、始まるのかもしれない。

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こんばんは〜♪¨̮(❁ᴗ͈ˬᴗ͈))ペコ
皆さん申し訳無いんですけど、、
11月の6.7日は物語書けません…
(;ω;)スミマセン
理由は修学旅行なんです…でスマホ持ち込みq(*`Д´*)p
【禁止っ!!!】なんで、、すみません、、
でもその分5日の日に多めに書いときます!
お題とは関係ないかもしれませんが少しでもお暇の時間を潰せたら良いので、、長めに、話変えながらやっと来ます(っ◞‸◟c)
とりあえず皆さん今日もお読み下さりありがとうござました。(*^^*)
それでは*˙︶˙*)ノ"
🐦‍⬛☪︎🌃

9/25/2025, 3:07:34 PM