「触れてみたい秘密の…」
タイトルは忘れたけど、耳に残る歌詞と独特なメロディーは覚えている。その1フレーズだけ誰よりも上手に歌えるような気がする。それくらい何度も頭の中で繰り返し再生されているのだ。
ミャオ、と甘えたような声ですり寄ってくるくせに撫でると噛んでくるのが可愛くない。どこかの誰かを連想させるような距離の測り方が本当に大嫌いだった。
可愛い顔をしてるやつほどギラギラとした欲に塗れた目をしている。与えられて当たり前というスタンスで悪びれもしない。騙されて振り回される方が悪いと言い切ってしまうあの傲慢さ、いや、高慢なのか。何にせよ可愛くない。
あの人たちの秘密を暴いてからその終わりまでをみてきた。お金も地位も、『幸せな』将来も失ったというのに反省も後悔もなくずっと喚いていた。
―――かわいそうに、
あのときの女の顔ときたら。危うく殴り殺しそうになったと憔悴しきった依頼人が泣いていたのを思い出す。
確かにかわいそうではあるが、あの女がいう権利はない。第三者からの客観的な感想であればまだ耐えられるのに、あの女が口にすると煽り文句でしかない。まあ、分かってて言ったんだろうけど、あまりにも酷い。
「どう育ったらあんな化け物が出来上がるんだか」
倫理観を捨てたのか、元からなかったのか。道徳教育の敗北を感じる。家庭環境にも交友関係にも問題はなく大学まででて大手企業への内定まで決まっていたのに、それを捨ててまで固執するのはなぜだろう。甚だ疑問である。
【題:question】
3/6/2025, 7:13:41 AM