優しさ
仕事の帰り道、
辛く上司に当たられたことを思い出し、
うかつにも、バスの中なのに、
涙が、ぽとりと出た。
恥ずかしいと、ごしっと、こすって、無表情をよそおうとした。
しかし、同じバスに乗っていた、前の席の子が、
お姉ちゃん泣いているの?
と、ハンカチタオルをそっとさしだした。
使ってと、小学生低学年くらいの男の子。
辛いよね。
世の中って、ほんとに辛いんだ。
その少年は、どこか苦しそうだった。
どうして?
僕のお母さんは、死んじゃったから。
もし、辛い人をみたら、助けてあげてね。
って、言ってた。
そうなんだ。
君も君のお母さんも立派だし、偉いよ。
と、言うと、少年もぽとりと涙がでた。
聞いていた、バスの中のおばちゃんの一人が、
これ使いいと、ハンカチを少年に渡した。
少年は、優しいおばちゃんに余計泣きそうになっていた。
これは、優しさの連鎖なのか。
少年も私も少し泣いた。
バスの中のおばちゃん、おじちゃんたちは、優しく見守ってくれているようだった。
なぜか、優しい顔をしたひとばかりに見えた。
1/27/2024, 3:55:03 PM