maria

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「夏」

朝には 
暴力的に 高圧的に
私を急き立てる。

早く目を覚まさぬか
とっくに陽が昇っているというのに


昼には 
煽情的に 焦燥的に
私に問いかける。

どうして出かけないの
海へ 山へ 
恋人に出会えるやもしれぬというのに
  

夕べには
諦めと 憐れみをもって
私に問いかける。

想い出はいくつできたか
今日も何も手にしていないのか
一日が終わろうとしているというのに


夏というものは 常に

威圧的で 圧倒的で

一切の妥協も許さず

常に私のテンポを全否定する。

常に私のリズムをせせら笑う。

急がないと 逃してしまうという。

なにを逃すというのか と訊ねてみても

「とにかく いそがないと」と

言葉を濁して視線を外す。

そして夕陽に向かって走らせようとする。



そんな勝手な季節を このわたしが

       好きになれるはずもない。

             「夏」

6/28/2023, 12:41:31 PM