月花

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空模様☁️

「そういえば、あれはどうなった?」
背中あわせに佇むカレに聞いてみた。
「ん?…アレって?…あぁ…」
上の空のカレはそのまま黙り込む
風が心地いいからまぁいっか、とアタシもそれ以上は深く聞かなかった。

それにしても、本当にこっちまで来ちゃうとはな…

1年前のカレのただの妄想話だと思っていた呟きが現実になるとは…


「オレの夢なんだよなぁ 本物の空の下で雲の影が大地に映ってさぁ、まるで空の模様を描いているみたいに見えるのをこの目で観てみたいんだよなぁ」
「何言ってんの、自分の顔鏡で見てみなさいよ。いくら夜勤明けでもそんな間抜け面でバカ言わないでよ」
「ヤダよ。オレ、鏡ってなんか怖いんだよ」とんちんかんな返事が返ってくる。
「はいはい。そんな事よりもうすぐ雨降る時間なんだから中入ってないと濡れるわよ」
カレは聞こえてないふりをしてテラスからまだ外を眺めている。

「ほら見なよ、あの子なんて嬉しそうにレインシューズ履いちゃってさ、でも何もこの時間帯に雨降らせなくてもいいのに」
何か言ってるけど無視。
アタシはひとりバタバタと朝の身支度を整える。

「あれ?今日出る日なんだ」
「そうよ。ちゃんと寝てよ。あ、その前にちゃんと食べてね」
「うん…」(夜勤明けの寝る前はあまり食物は入れたくないんだけどなぁ)
「ねぇ、聞いてる?」

やれやれ、雲行きが怪しくなってきたんでこの辺にしとくか
部屋に戻りながらカノジョに言った。
「大丈夫だよ。ありがとな」

8/19/2022, 5:42:37 PM