27(ツナ)

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空白

授業中、暇だったから回ってきた資料プリントの空白に好きな彼の似顔絵を描いた。
授業が終わって、プリントを無造作に机の中にしまって友達と中庭へお昼を食べに行った。

***

午前最後の退屈な授業が終わって、近くにあった好きな子の机を借りて友達と昼飯を食う。
机を動かした時、机の中からスッと1枚のプリントが落ちた。
さっきの授業で使ったものだ。
よく見ると空白に絵が描いてある。
とても上手なその絵は目の前にいる俺の友達だった。
頭の中が真っ白になった。
「どうかした?」と声をかけられ慌ててプリントを元に戻す。
予期せぬ失恋に俺の心は穴が空いたようだった。

***

午前の授業がやっと終わり、ようやくお昼。
誰かの机を借りて友達と昼食を取る。
友達がプリント片手に固まっていたから声を掛けると「…あ、あぁ、いや。なんでもない。」と言う。
チラッと持っていたプリントを見ると絵が描いてあった、どことなく自分に似ているような。
実は彼女からの好意は薄々気づいていた。
けれど、僕は彼女の気持ちに応えられない、僕が好きなのは今、目の前にいる彼だから。

9/13/2025, 11:28:22 AM