紫乙

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あの商店街の七夕飾りが好きだった。
いつもこの時期になると、あの寂れた商店街が華やかになって、普段あまり人通りもない、古き良き時代の商店街が賑やかになる。
かれこれ何十年か前の頃には、映画の撮影に使われたり。
懐かしさ漂う、昭和時代にしかない店が並んでいたのに、いつの頃からかシャッター通りになり、新たな店舗が入る事もなくなってしまった。

そんな商店街の、昔ながらの定食屋さんに入って、中華そばや親子丼を食べるのが好きだった。

あの七夕飾りは、シーズンが終わるとどうしていたのかな?
すごく大きくて豪華な飾りに、大きな短冊が掛けられていた。
1つだけではなく、いくつも掛けられていて、歩くと頭の上に飾りの足が当たりそうな大きな飾りだから、設置するのも外すのも、大掛かりで大人何人が作業に携わったのか。

テレビでは今年も飾られたと報道されていた。
もうそれをその場で見る事はないだろう。
たくさんの思い出が残る商店街。
不思議と嫌な思い出など1つとしてない。
あの商店街に行く時は、七夕祭りの頃だけではなかったが、特に用事があったわけでもなく、欲しいものがそこへ行かなくては手に入らなかったわけでもないが、その不要不急の用事さえ消えてしまった。

7/7/2024, 2:44:41 PM