君の好きな花を買って、君の好きな料理を作って。
「そっちはどう?」
『そろそろだよ』
スマホ越しのあなたの声に嬉しくなる。
私はベランダに出る。季節外れの電飾で飾り立ててピカピカ光らせている。一月なのにMerry Christmasなんてちょっと変だけど、これしかなかったから仕方ない。とにかく光れば良いのだ。君に見えるように。
私はスマホのライトを点けて夜空に向かって振る。あんな遠くからじゃ見えるはずない、分かっていても、ここにいるよと伝わるように。
まだかな、寒いな、なんて思っていると。
「あっ!」
澄んだ藍色の空に、ダイヤモンドのように光り輝く流れ星。
あれは国際宇宙ステーション。あそこに私の夫がいる。
「久彦!」
私はここで帰りを待ってからね。
君の名前は白い息になって空へ溶けていく。
【お題:君に会いたくて】
1/20/2024, 6:17:15 AM