朝顔のツルが拠り所を探すように、ぴろぴろと困ったように動く糸を無視できなかったのが運の尽き。
うっかり、ちぎれたてのそれを相方が分かるように掴んでしまったのだ。
瞬間流れ込んでくる、めくるめく青春に目眩が起きる。
もう片方の糸を掴めば単純計算で2倍の記憶。
見れば見るほど、こんな男と一緒で本当に良いのか。
大事にとっておいた冷蔵庫のプリンをうっかり食べてしまうやつだぞ。
そのあと申し訳なさそうに、ちゃんと買いに行くけれど。
お前もこの女で本当いいのか。
お前の大事なプラモデルをうっかり倒すやつだぞ。
きちんと元の場所に戻すけれど。
そんなこと、そもそも自分が決めることじゃないけれど。
結び終わる。手に馴染みすぎたそれを手放す。
元はと言えば、うっかり人の縁に引っかかってちぎってしまったのがきっかけだが、人間とはなかなか度し難いものである。
7/1/2023, 11:28:51 AM