夢を見ていたいが眠りたくない。相反する2つの希望を叶えるため極限まで現実にちかい夢に潜ったが、つまらないものだった。
そういう訳で、「夢のような現実世界」を作ることに決まったのだが、それは「現実のような夢」みたく
一筋縄でいく代物じゃないってことに気がついた。
結局そんな夢みがちな少年は、大人になるにつれて夢を見ることすら無くなっていった。
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ねぇ。このまま手を繋いでいてもいい?
僕は大いに頷いた。
なんならずっとこのままダメですかねぇ、、、
そのときスクリーンの外側から怒声が。
「おい!気をつけろ!そいつはお前を誘惑する魔女だ!あと少しで夢から出られなくなってしまうぞ!」
彼女が異様な力でにぎった。化けの皮が剥がれて老婆のおそろしい形相があらわになった。
僕は狂ったように叫びながら、なんとか脱出することができた。
ハァ、ハァ。
後ろから、(あと少しだったのに、、、)とか聞こえたような気がした。
「危なかった。あなたがいないと夢に囚われるところだった。あなたは、、、」僕は目の前の巨人の顔を見上げた。
「現実だ。さぁ、いくぞ!」
大男は僕の胸ぐらを掴んで引っ張っていく。
「魔女の次は悪魔か!なら夢の方がいい!魔女さーん!」
僕は後ろを見たが魔女はいなくなっていて、
かわりにビル群が高くそびえていた。僕はもう観念した。
1/14/2024, 12:14:22 AM