私は蟻を見ると幼い頃を思い出す。
小さい頃私はよくアリを見つけては潰していた。
無邪気というのは時に恐ろしいもので、無意味に悪戯に力を振るうのである。
幼さ故とはいえ、今となっては申し訳なく思う。
ただ今は理不尽な死を受け入れるしか無い身だ。
学校の帰り道の横断歩道を渡っている所をトラックに引かれて死んだのだ。
「弟が見ていたアニメだとよくこうやって異世界転生していたなぁ。」
そんな事を思い浮かべながら意識は遠のいていく。
目が覚めると大きな門の前にいた。
振り返っても気の遠くなる程遠くまで道が続いているだけでそれ以外に何も無い、なんとも不思議な場所に来てしまった様だ。
「本当に異世界転生とかあるんだ。でも私を呼び出した人もチート能力をくれる案内人も居ないみたいね。それにこの白い浴衣みたいな服も謎だわ。もう少しセンスの良い服でも用意してくれればいいのに。とりあえず誰か人を見つけなきゃよね。」
門を潜り中に入る。
カシャンカシャン
誰かが近づいて来る。
「何...あれ...」
そこには3mはあろうかという二足歩行する馬と牛が現れた。私は息を殺しながら咄嗟に柱の後ろに隠れた。
2/24/2024, 6:24:11 PM