特別な存在
のび太にとってのドラえもん
ホームズにとってのワトソン
信長にとっての光秀
ふむ、と、僕の独白を彼女がじっと聞いている。
アンパンマンにとってのジャムおじさん
サツキとメイにとってのトトロ
大谷にとっての水原
ちょっと待って。それはなんか違うよね、彼女が言う。
ああ、そっか。そうだね。えっと、じゃあ、
エドワード・エルリックにとってのアルフォンス・エルリック
杉下右京にとっての亀山君
綾野剛にとってのガーシー
ちょっと待って。3つ目がおかしくなるよね。彼女が言う。
ああ、そっか。そうだね。えっと、じゃあ、
ロミオにとってのジュリエット
マーク・アントニーにとってのクレオパトラ
僕にとっての君
ちょっと待って。だから3つ目がおかしいよね。
おかしい?
おかしいよ。
そう。
うん。たぶん。
どうしよう。ここから何を話せばいいのか。
彼女の方から口を開いた。
意味不明な面倒くさい話は終わり。ラーメン食べに行こう、のび太くん。
許された。そんなふうに胸がホッとした。
僕はドラえもんだよ。
何を生意気言って。どう考えてもあなたがのび太でしょ。だらしないんだから。メガネだし。
わかったよ。いいよ、それで。僕は諦めを含んで言った。
本当はどっちがどっちでもいいんだ。一緒にラーメン食べられたら。
3/23/2024, 11:32:57 PM