―海想の日常―
朝起きて、顔を洗って、朝ごはんを食べて、青雲に外に連れ出される。僕にとってよくある日常の一コマだ。だけど
「海想の好きそうな紅茶を貰ったんだ。おやつのときに入れて飲んでみようねえ」
「ほら、これ。前に欲しがっていたカード。今回パックを買ったらたまたま当たったんだ。僕は使わないから、海想に貰ってほしい」
「海想!スタバの新作が出たんだ、一緒に飲みに行こう。あの二人はこの前勝手に海に行ったから今回はお預けだ。二人でこっそり楽しんじゃおう」
中学生になって部活もそこそこにやっている僕の暇さえ見つければ、青雲も蒼原さんも竹凛にいもこうして僕にかまってくる。僕はそんな3人を見て小さくため息をついた。
「みんな、僕のこと大好きすぎやしませんか」
それはけして過信ではなく、素直に思ったこと。本当は嬉しいけれど、なんだか恥ずかしくてつい強い言葉に隠してしまう。だけど3人ともそう言うと嬉しそうな顔を綻ばせるものだからなんとなく居心地悪く顎を手に載せながら目を逸らす。そんな僕の行動一つすら楽しそうに笑っている。
―僕だって3人のこと、ちゃんと大切に思っていますから
いつも思っているけど、まだ口から出たことのない言葉。きっと3人には伝わっている。だけど、いつかちゃんと言葉で伝えたい。きっと3人はとても嬉しそうな顔を見せてくれるだろう。だけど今はまだないしょ。
ああ、バカみたいに楽しい日常を過ごしている。
3/22/2023, 2:26:39 PM