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目が覚めるまでに

 彼が私を振って私の友人と付き合い始めた。
 友人は特別美人というわけではないけれど、色白で楚々とした佇まいの魅力的な女性だ。細やかな気遣いができて、頭の回転が早いから一緒にいて楽しい。彼が何かの拍子にうっかり惚れてしまったのも仕方がないと思う。
 唯一彼女に欠点があるとすれば、それは彼女の恋人は彼を含めて七人もいるということだろう。
「なんていうか、ゲーム感覚? 別に誰のことも好きじゃないよ。私、男の人嫌いなの」
 たしかに相手を同じ人間だと思っていたらできない所業だ。何も知らずに舞い上がっている彼は少々不憫だけれど、私はにやにや笑いを抑えきれない。
 いつか目が覚めるときまで、せいぜい幸せな夢でも見ていろよ。

8/3/2023, 3:45:57 PM