振り返った彼女の輪郭はぼんやりとして見えづらい。
あっという間に落ちていく夕日に、
この時間に、彼女がスゥッと溶けていくようだった。
「ごめんね」
そう一言だけ呟き、彼女は電灯のない方へ歩き出した。
僕の瞳は簡単に彼女の姿を捉え損ね、
次の言葉を出す前に彼女は見えなくなった。
仲間だと思っていた。味方だと思っていた。
大切な人だと思っていた。
そうではなかったのだと知って、
クラクラと衝撃を受けている間に僕の前から消えてしまった。
前から彼女は儚い人だと思っていた。
でも、こんなにあっさり灯火が消えてしまうなんて。
静かに頬に伝う雫が襟元を濡らした。
【たそがれ】2024/10/02
10/2/2024, 4:28:08 AM