Morris

Open App

24と25のちょうど境目のロドス艦内。
男達は武器ではなく、大袋を抱えて艦内を縫うように動いていた。
揺らめく炎に浮かぶ影は彼らを象徴する尻尾だけ。合図するように軽く揺らせば、彼らは足音も立てずに去る。

「では、作戦通りに」

案内役に扮したベスタは、ランタンに火を灯して見回りに行く。
サンタを一目見ようとする子供たちを諭し、残業が片付かないからと抵抗する大人たちにはアーツをお見舞いした。

尻尾に紛れて翼が見える。
今年は更に人数が増えたらしい。例の彼なら、素早くプレゼントを届け終えるだろう。新人ではあるが、要領がいい。
7人に増えたサンタクロースのおかげか、例年の半分程度の時間で配達が終わった。

「遅くまでご協力ありがとうございました。皆様のプレゼントも後日お届けします。それでは、おやすみなさい」

各自解散の後、ベスタはへラグと一緒に部屋へ戻った。

「へラグ様もお疲れさまでした」
「あぁ、ベスタもな。子供たちが夜更かしをしていないかと心配していたが、杞憂に終わった」
「ええ。大人たちのほうが手強かったですわ」
「ははは、そうだな。今年も無事に成功した、しかし、神経を張っていただろう。ホットミルクでも飲んで、ゆっくり休んでくれ」
「ありがとうございます」

湯気立つホットミルクで身体が温まる。絶妙な眠気に誘われ、ベスタは先にベッドへと向かう。 

「おやすみなさい、へラグ様」
「あぁ、おやすみ」

ベスタが完全に眠ったことを確認したへラグは、棚に隠しておいたプレゼントを彼女の枕元に忍ばせた。

「任務完了、全員にプレゼントを届けた」

そう端末に打ち込み、へラグも眠りについた。

「オペレーション・プレゼントラッシュ」

イブの夜
※明日方舟(二次創作)

12/25/2023, 6:29:54 AM