墓守

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世界が、真っ白になった。


先程まで繋がっていた頭と体が別々の所にあるのを、転がっている目玉から見ていた。
呆気ないものだ。

今の僕は……一種の幽体離脱的な感じなのだろうか。

化け物によって赤く散った自分の姿を、達観したような気で見守る。

――こんな冷静でいられるのは、君がらしくなく取り乱してるからだよ。

転がった僕の頭を抱えて、泣き叫んでいる少年。
いつもはもっと冷静沈着で、毒舌で、リアリストの癖にさ。

僕を殺した化け物は僕だけで満足する訳はなく、彼にも咆哮を浴びせる。

――危ないっ!!!

彼はそれを素早く避けると、先程まででは考えられないほどの殺意を込めて化け物に攻撃した。
その瞳には底知れない憎悪と怒りが宿っていた。

――余計な心配かあ……

まあひとまず、彼が無事でよかった。
この調子なら僕がいなくてもなんとか生き残ることができるだろう。

――さてと、僕も成仏しないとね。

どうやって成仏するんだろう。
この世に未練なんてないから、するなら早くしたいものだ。

――このままここに留まってたら、君のことが心配で憑いちゃいそうだし(笑)。

脳裏に今までの記憶が通っていく。
思えば、僕の人生は結構恵まれていたんだなあ。

沢山の人を救って、感謝されて。
家族や友達や仲間がすぐそこにいて。
傷つけることだってあったけど、それでも。

うん。総合的にみたらめっちゃいい生涯だね。

「お前の意思は必ず引き継ぐ。約束だ、司」

――頼んだよ、五日君。

覚悟の決まった五日君に安堵する。
バイバイ、世界。
また、会えたら会おうね。

『走馬灯の終わり』

11/9/2024, 4:41:40 PM