霜降る朝に待ち合わせした。
寒いねなんて笑いあって互いに白い息をはく。
別れの時間が近づいているというのに本題には触れず。互いに他愛のない会話を繰り返す。
やがて電車が来て僕たちは離れ離れになった。
ずっと一緒にいたんだ。
双子だけど友達のように、恋人のように同じ時間を分け合った。
そばにいるのが当たり前で、いなくなるのなんか考えたくなかった。
ましてや村の生贄なんかにするような真似したくなかった。
"双子は禁忌"
「だからね、ここには俺が残るよ。元気でな」
それが兄との最後の言葉だった。
電車が出たあと兄貴は背を向けて顔を見してくれなかった。
ねぇ、今どんな顔をしてるの?
なんでも言ってよ。
行かないで、お願い。
11/29/2025, 9:52:11 AM