とある恋人たちの日常。

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「どうでしょう?」
 
 ハロウィン用のコスプレ衣装を身にまとった恋人が俺の前でクルンと一周回る。
 ふわりと動く短いスカートが俺の目には眩しい。
 
「可愛いですか?」
「可愛いけれどスカート短過ぎ!」
「えー、可愛いじゃないですかー?」
「可愛いよ。可愛いけれど、素足にその短いスカートはダメー!」
 
 そもそもとして色素の薄い彼女が、更に白をイメージした衣装。ふわっとした柔らかそうな布の短いスカートは俺にとっては大変目に潤いを与えてくれる。
 
 彼女は再びクルンと一回りするとスカートと一緒に羽根も揺れる。
 いや、この時期とはいえ、スカートは勿論だけれど根本的に露出高いんだよな。
 
 幼さが残る顔なのに、プロポーションはとても良いからこんな格好したら他の男共の視線も集めちゃうじゃん。
 
「でもなんでハロウィンに天使なの?」
「え、みんなで可愛いからこれにしよって」
 
 うっ。
 〝みんなで〟と言われてしまうとダメと言いにくくなるじゃん。
 
「衣装は同じで色違いにして、他の部分はみんな変えているんです。羽根とか、靴とか」
 
 楽しそうにそう言ってくれるんだけれど、俺としては許容しにくい。
 
「ダメですか?」
 
 眉を八の字にして、悲しそうな表情で見上げる。
 ズルいですよ、その顔は。
 
 俺は両手を上げる。
 
「わかった。せめて素足はやめて。あとスパッツ履いて」
 
 俺ができる最大の譲歩を提示する。
 
 さて、ここから駆け引き開始だ。
 
 
 
おわり
 
 
 
五二七、揺れる羽根
 
 
 

10/25/2025, 1:35:11 PM