【ルール】
あなたがくれた写真をアルバムに綴じるのはわたしの趣味であり、そうして綴じた写真はアルバムから出してはいけないと決めていた。指で触れれば触れるほど、写真の中の思い出が汚れていく気がした。アルバムから出してしまえば最後、どこかになくしてしまう気がした。
それが杞憂だったと気付いたのは、今になってようやくだ。封筒に詰め込めるだけ詰め込んだ写真達は、わたしがそうしている限りどこにも消えない。触れたところで、あなたの思い出が汚れるはずもない。くだらないルールを破ってようやく、わたしはあなたがくれたものにもう一度触れる。艶やかな光沢紙にはどんな温度もないけれど、あなたが纏う香りがほんのわずかに残っている気がした。
4/24/2024, 10:22:38 AM