「また一年後ですね」家の側の葉桜を見ながら妻は言う子を肩車しながら、男は満開の桜を思い浮かべた夏は干ばつがひどかった男は農作物が取れず、お金が少ししか残らなかった秋には残った作物が猿や猪に荒らされたお金は子供の薬代でほとんど消えた冬になると雪が積もって遠くに行けなかった呼吸をすると肺が痛くなるほど寒かった遠くに薪を買いに行く体力もお金もなかった男はかじかむ手で斧を持ったあの桜がただの木にしか見えなくなっていた
5/8/2024, 1:25:59 PM