不思議な空の色だった。
紺色の空にピンクや黄色などのオーロラが浮かび、月が割れて、星々がこの世界の終わりを見届ける。
まるで宇宙そのものの様な、見たことのない景色。テレビに映っていた誰かは「悪魔の瞳」だなんてことを言っていたけれど、それが本当なら悪魔はどれほど綺麗なのだろう。
涼しい風が髪を揺らす。隣の君は、ボーッと口を半開きにしてただ空を眺めていた。
視線の先には大きな太陽がゆっくりと、わかる速さで昇っていく。
テレビでは「太陽が完全に昇った瞬間に世界は終わる」と言っていた。もうその時なのだろう。
世界が終わるまで後数秒という時に、君は言った。
「……さっきから考えてたんだけど」
「…何?」
「この空の色、お菓子売り場で売ってたお菓子に似てない?」
「全部台無しだよ」
突っ込んだ瞬間、目の前が白い光に包まれた。
こんな間の抜けた言葉が人生の最後だなんて、何て馬鹿らしいのだろう。
ただ、それにホッとしたのも事実。
あぁ、最期まで君は君のままだった。
6/8/2023, 2:08:29 AM