【雪を待つ】
来ねーな。
ポイ捨て禁止という看板の横で
俺はある人に待たされている。
「約束の時間過ぎてんだけど
あいつ何してんだよ!!」
携帯を開くと
待ち合わせの時間より10分以上
過ぎているのが間のわかりだった。
普通なら彼女の化粧が遅れたとか
電車が止まったとかなら
まだ許せるのだが
俺が待っている人は
友達だ…ましてや男のな!!
たまたま信号が
夜間専用に変わり
押しボタンを押すとすぐ
変わるようになっていた。
それをボォーと見ていると
横断歩道の先で
友達が携帯をいじりながら
誰かを待っている。
「は?アイツ来てんじゃん?」
と思い近づこうとしたら
相手が携帯を耳に当て こう言った。
「待ち合わせの友人来ないから
そっちで鍋パしね?」っとね
呆れた。あっちは待ってるどころか
他の友人と遊ぶ。
なんて最悪の選択肢なんだ!!
じゃあ、俺は誰を待っているんだよ…!
半額のおにぎりか?それとも
アイツと分けて食おうとしたケーキか?
なにが、なにが!!
お互いクリぼっち民!!
仲良くケーキでも食って心満たそうぜ?だよ!!
お前はボッチじゃねし
俺は今、ボッチ確定なんだぞ!?
………アイツは
友達を待っている
俺は誰と待ち合わせして
誰と会って、誰と共に過ごすんだよ
時間が経つと
俺の事を嘲笑うかのように
雪がシンシンと降り出した。
そうだったのか
俺はもしかして
人を待たずに【雪を待っていた】のかもしれない
その雪が俺の頭を冷やし、それで
新しい気持ちに切り替えろという
神様の善意だったかもな
また、合図だったのかもしれないかもな
おわり
12/15/2024, 12:26:57 PM