「…そういえば、最近あの子見かけなくなったのよね。」
カフェで二人お茶をしていた時、ふと目の前のおねえさまがそう零した。
「あの子って?」
「ほら、ちょっと前に知り合ったって言ってた他寮の…」
「あぁ、おねえさまが怪我の手当てしてあげたって言ってたブロンドヘアの人?」
「そうそう、あの子話してみると気さくで良い子だったから今度貴方にも紹介してあげようと思ってたんだけど、この頃あんまり会わないのよね…。」
まぁあの子も怪我なく元気にしてたら良いんだけど、と言って紅茶を飲むおねえさまは優雅で美しくて今日も世界一可愛い。
「ふーん……?」
変なの、と小首を傾げて目の前のケーキを1口頬張る。
甘酸っぱいラズベリーの酸味と滑らかなクリームの程よい甘みが口に広がり、思わず美味しい…!と頬を緩めた。
「ふふ…ほっぺにもついてるわよ。」
「んむ、」
そう言っておねえさまが私の頬についたケーキのクリームをそっと指で拭うとそのまま自らの口へと運ぶ。小さなリップ音と共にクリームはおねえさまの口に消えていった。
「〜〜お、おねえさまったら…!!」
「あらほんと、甘くて美味しいわね。」
ご馳走様♪と少し悪戯っぽく微笑んだおねえさまに思わず赤くなった頬を抑える。
その後「もう、おねえさま大好き…っ!」と私が零すと、ちょっぴり照れてはにかんでいたおねえさまが可愛すぎたという事もここへ記しておこうと思う。
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「〜♪〜〜♪〜♪〜」
鼻歌を歌いながら階段を下っていく。
おねえさまと私は寮が違うから、先程おやすみのキスをして別れたところだ。
そういえば、おねえさま気にしてたな…と“ブロンドヘアのあの人”の事を思い出す。
“キャッ…!な、何するの……!?”
“…やだなぁ分かるでしょ?次、おねえさまに近づいたらどうなるか……。気をつけてね?”
…ちょっとご挨拶しただけだもん。
物分りの良い人で良かった。
部屋に戻っておねえさまとのデートの為におめかししてたオシャレな服を脱ぐ。
そして寮カラーである緑の制服に着替え、うっすらと狡猾な笑みを浮かべた。
「大好きなおねえさまがずっと私だけを見ていてくれますように。」
#私だけ HPMA side.C
7/19/2024, 4:46:15 AM