何個か前のお題です。
犬のために貧乏をしていることで有名な先輩がいて、それがわたしの好きな人だった。
犬派ですか? 猫派ですか? と分かりきった質問をして甘えていると、先輩が、猫派かな、と言い出して、この人うそみたいな人だなって思った。百瀬さんもそうでしょ、といわれたけど、なにをもってそう思ったのか、わたしはまったくの犬派である。
それから十年経ち、社会人になって、結婚したわたしは犬を飼うことになる。貧乏だったら飼わなかったと思うので、やっぱり犬のために貧乏をしたあのころの十夜先輩はおかしかったと思う。
寝室から起きてきた髪も顔もぐしゃぐしゃのわたしを見て、その十夜さんが、猫みたいだね、といった。
わたしは、十年越しの謎が解けたような、それとも深まったような、たじたじした気持ちになって、その場に立ち尽くした。
2/17/2025, 3:54:46 AM