せつか

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男と別れた。
すぐ手が出るDV野郎だったから清々した。
頬をぶたれたから水をぶっかけてやり返して、目の前で自分のスマホを割ってアイツとの繋がりを断ってやった。早足でアイツから離れていく間、ずっと肋骨が痛かった。

その足で飛び込んだカラオケで、六時間ぶっ通しで一人で歌った。アニソンばっかり延々六時間。声が枯れたけどスッキリした。
お腹が減ったから特大ハニートーストとストロベリーシェイクを頬張った。

カラオケを出ると日が落ちていた。
空の半分が紫で、半分が灰色だった。
空とビルの境目に星が一つ、輝いている。
生暖かい風が吹いた。

駅に着いたら竜巻注意情報が流れていた。
「·····ぷっ」
なんだか急におかしくなって、思わず吹き出した。
天気も、私の情緒もぐちゃぐちゃで、ワケが分からない。
なんとなく家に帰りたくなくて(アイツが待ち伏せしてたら嫌だし)財布を見た。
うん、と頷く。
私はその足で新幹線の切符売り場に向かった。
空はもう真っ黒で、暗い雲の合間に星がチカチカ瞬いていた。


END


「空模様」

8/19/2024, 3:07:12 PM