ラフロイグ

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「パパってさー、泣いたりすんの?」
就活中の娘が聞いてきた。
「お前が産まれた日以来、泣いてないかもな〜」
という言葉を軽く受け流して娘は続けた。
「ママはよく泣いてるから、ママの涙腺は嫌だなー」
「ど、どういうこと?意味がわからん」
「仕事量の話だよ」
「仕事量?」
「そう。ドラマ観て毎回泣いてるから、過労気味でしょ?涙腺」
「な、なるほど…確かに、忙しそうではあるな」
「それに比べるとさ、暇持て余してるじゃん。パパの涙腺」
「…」
「まあ、あたしが誰かに嫁いだ時くらいじゃない?今後働くの」
「…」
「んじゃ寝るわ。お休みー」


遠ざかる娘の足音を聞きながら罪悪感に苛まれた。


すまん。娘よ。
俺…結構泣いてる。
近々だと、年末のJR船橋法典駅。
単勝、三連単、三連複、全部外した時、マジで嗚咽漏らしたわ。
正直、泣きすぎて枯渇してるわ…俺の涙腺。
就職するなら絶対にママの方がマシだぞ。
俺の涙腺は超絶ブラック企業だ!


——— 透明な涙 ———

1/16/2025, 2:02:25 PM