死にたい少年と、その相棒

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  /今日の心模

今日は朝からかなり腹が立っていた。何もかもが上手くいかなかった。
立て続けに起きた部下のミス。自殺も失敗し、挙句どこかのフロント企業から面倒な会食でやりたくも無い機嫌取り。その話も何も身にならない、無駄なもの。
ため息が漏れる。押さえ込んでもそれなりの大きさになってしまった。

外に出れば、空一面に鮮やかな茜色が滲んでいた。今日は快晴だ。僕の心模様とは真逆だ。
「おい」
疲れすぎだろうか。聞きたくもない幻聴まで聞こえてきた。
「おいコラ手前」
無視して歩いた僕の腕を掴んで無理やり引き止めた彼が、無理やり視線を絡ませてきた。
「手前がそんなに苛立ってるのも珍しいな」
そう鼻で笑った彼を睨みつけると、乗っていたバイクのハンドルにかけられた、黒いヘルメットを被せられた。
「乗れよ」
きみの言葉に少し考えてから、後ろに乗った。
なめらかに動きだし、スピードをあげるバイクから見た、君の髪と同じ色の空を、ただ眺めた。

4/23/2023, 8:12:57 PM