金零 時夏

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物憂げな空

「…はぁ。」
溜め息が1つ、雨に濡れたコンクリートに反響した。
今日は、何もかも上手くいかない。課題を家に忘れて怖いと有名な先生にキレられ、雨で寝癖は酷くなり、色々重なってイライラしていたせいもあったのか大切な親友を傷つけてしまった。
雨が降っていて気温が低いにも関わらず、半袖で教室を飛び出してきた。心臓がぎゅうっと鷲掴みされる様な痛みに、渡り廊下の床にしゃがみ込む。
俯いた拍子にビシャビシャに濡れた髪から雨水が滴って、ズボンを濡らしていく。ベタっと体に張り付いた半袖シャツが気持ち悪い。
いっそ、このまま居なくなれたらどれだけ楽だろうか。こんな最低な俺に、今手を差し伸べてくれる人はいないのか、と自虐的な乾いた笑いがこぼれた。

ふと、頭に容赦なく降りつけていた雨がすっと止んだのがわかった。顔を上げて前を見ると、未だにどんよりとした曇天から雨が降り注いでいた。
「ねえ、こんなとこで何してんのさ。風邪ひいたらどうすんの。」
いつも明るい声は、低く優しい声に変わっていた。右を見ると、傘を俺の方に向けながら目線を合わせてしゃがんでいる親友が居た。

「…何しに来たの。」
せっかく心配しに来てくれたのに、目線も合わせず冷たく返してしまう自分が腹立たしい。さっきよりも深く俯いて目に滲んだ涙を隠す。彼奴は、背中に手を当てて優しく摩ってくれた。涙腺崩壊を加速させるその動きが、今は心地よく感じる。
流れ出る涙と口から漏れて止まらない嗚咽はそのままに、見上げるは、、、


2/26/2023, 5:32:43 AM