紅の記憶 薄水色に映える紅はひらりひらりと宙を舞い、地面を彩る。今だけは私は大女優だと言うように背筋を伸ばして歩いてみると、何だかとても可笑しくなった。ふと目にとまった自販機の前まで歩き、ひとつミルクティーを買ってみる。珍しくスパイスの入ったもので、体中に独特の香りと甘みが巡り、少し冷えた体が温められていく。 ――何もない休日の午前。下を向いて歩いていた私の世界に秋が手を伸ばした。日比家
11/22/2025, 11:03:00 AM