少なくともお互いに憎からず思っていたはずなんだ。
だからわざわざ言葉にする必要なんて無い、そう思い込んでいた。
やっと好きな人とひとつになれた喜びは計り知れない。
胸の中があたたかいもので満たされ、これからの二人の未来に柔らかな光が差した。そう思っていた。
果たして翌日には抜け殻の布団と枕元に一枚の詫び状。
愚かだった。あの人はずっと不安だったのに言葉で約束を交わさなかったから、代償として煙のように消えてしまった。
追い掛ける、必ず探し出す。謝りたい、愛を伝えたい。
あの人の行き先なんてわかりっこないのに、奇跡はもう一度起こると信じてやまなかった。
10/2/2024, 10:35:07 PM