nami

Open App

「わあ、なんか年々仮装のクオリティ上がってない?」

「来年はあたし達も仮装してみようか」

「仮装しなくても、お前ならそのままでイケると思う」

「ちょっと、それどういう意味!?」

10月31日──ハロウィン。

日本にはあまり馴染みのない行事であったが、最近ではすっかり市民権を得た秋のイベントだ。

「それにしてもすごい人だねー。はぐれないように気をつけないと」

そんな風に言ってるそばから、気がつくと私は一人だった。つまり迷子になったのだ。

仮装する者、私達のように見物するだけの者、それらが入り乱れており、とても仲間達と合流できそうにはない。

群衆から離れ、仲間達にLINEを送ることにする。

メッセージを打ちながらふと思う。
そういえばハロウィンは、西洋のお盆みたいなものだとか……。

お盆──死者の魂が現世に戻ってこられる日。
もしかすると仮装している人達の中に、死者の魂が紛れ込んでいたりして──

やだ、突拍子もない妄想しちゃった。
そう自嘲した時であった。

『そうだよ、よくわかったね──?』

男とも、女とも、子供とも、大人とも、判然しない声で答えられた。

驚いてスマホの画面から顔を上げ、私は辺りを見回す。
けれど、怪しい人物の姿は特に見当たらなかった。


テーマ【秋🍁】

9/26/2022, 12:02:50 PM