君と歩いた道
幼い頃から、
まるで兄弟の様に、
共に育ってきた、
誰よりも、大切な君。
とても優しくて、
でも、泣き虫で。
そんな君の小さな手を、
幼い俺は、そっと握った。
大きくなるにつれて、
俺にとっては、君は、
特別な存在になったけれど、
君にとっては、俺は、
兄の様な存在のままだったんだ。
お互いに、大人になって。
君が、俺の手を離して、
君の道を歩き出しても、
俺は、兄の仮面を外せないまま、
君の背を見詰めてる。
君と歩いた道から、
遠くに見えるあの山並みは、
あの頃と何も変わらないのに。
俺の隣に、君は居なくて。
刺すような胸の痛みを、
溜息で誤魔化す。
君と歩いた道が、
静かな夕日に照らされる。
悲しい程に赤く染められた道に、
残される、独りぼっちの影。
俺は独り、
想い出の中の君の、
小さな手の温もりを求めて、
空っぽの手を、握り締める。
6/9/2025, 9:17:56 AM