✳涙の理由
「ああ、どうしていつもこうなの!」
手元のまな板には、玉ねぎの微塵切り。
カレーに使う食材で、欠かせないものである。
そして玉ねぎを切ったが最後、止まらない涙と格闘しながら切っていかなければならない。
カレーの難所である。
「あと、少し!あと少しなのよぉぉーー!」
ボロボロと涙を流し、手を止めずに包丁で微塵切りにしていく。
しっかり切り終わると、ふうっと一息。
さあ、これで難所は終わった!と思いつつ鍋に玉ねぎを入れていく。
他の野菜もさっさと切り終えるとコンロに火をつけ炒め始める。
ジュウッという焼ける音に立ち込める野菜の蒸気。
その蒸気が再び自身を襲う。
「いやーーーーー!!目がああああーーー!」
叫びながら炒めお肉もぶち込み、軽く焼色がついたら水とルーを入れていく。
そして、サッ!と封印するように蓋をして、ようやく一安心した。
暫く煮込んで出来たカレーはとても美味しく出来たのであった。
10/11/2024, 9:38:57 AM