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友達との思い出は?

その言葉に、思わず腕に埋めていた顔を上げる。
思い出、思い出……自分には思い出と言えるほどの思い出はあっただろうか、と唯一の友の顔を思い浮かべながら思案する。
するとどうだろう、案外沢山出てくるものだ。それこそ自分でも驚くくらいに。
強く記憶に残るような出来事や、すぐ忘れてしまいそうななんてことの無い思い出まで、容易に思い出せてしまう。
それはただ自分の記憶力がいいからなのか、相手が彼だからなのかは分からない。
だが、一つだけはっきりと言えることは彼は自分にとって何より大切な友だとはっきり分かったと言うことだ。
その事実にほんの少し頬を緩ませながら、またも腕に顔を埋める。
あぁ、そうだ。この昼寝が終わったら、彼に会いに行ってみようか──。そんな事を考えつつ、さんさんと暖かな日差しを受けながら、重い瞼はゆったりと閉じてゆくのだった。

7/6/2024, 3:02:23 PM