【心のざわめき】11
双子に掴まれてかれこれの時間になる。
「ねえ、そろそろ離してくれない?」
ディ·ダム「「やだ!」」
「え~…」
駄目元で請うも即座に却下を喰らう。
「私これから行かなきゃいけないところがあるの。だからお願い離して?」
ディ·ダム「「…」」
う~ん。そんな捨てられた仔犬のような目で見上げないで。
絶対自分の可愛さ分かっててやってるだろ。
ディ「…なら、また戻ってくるって約束してくれる?」
「え?」
ダム「約束してくれるなら解放してあげる」
「…」
約束。何て容易くしていいものか?
何故なら私はここの世界の住人ではない。
ただの他所から来た異邦者(いほうもの)でしかないのだ。
だけど。
「…いいわ。約束する」
私は容易く約束をしてしまった。
きっともう会うことも、戻ってくるという保証もないまま。
ディ·ダム「「本当!?」」
「ええ」
それでも私は取り繕った笑顔を浮かべた。
心の奥がざわめいたのとチクりと胸が痛んだ気がした。
「きっとまた会いましょうね」
私は双子に別れを告げ、先を進み始めた。
3/15/2025, 12:32:52 PM