なにもかも投げ出したくなった。
無意味な呼吸を続けることに意味を見いだせず、どうして生きているのだろう、なんてぼんやりと考えていた。
高校一年の、秋のおわりだった。
冬の冷たい空気を肺にめいっぱい取り込む。
それだけで自分の中の何かが新しく生まれ変わってくれるような気がした。
実際には私は私のまま、なにも変われていなかった。
理想像はやはり理想像だ。
数年前、数ヵ月前、数日前、数秒前に思い描いた自分にはなれていない。それが現状だった。
じゃあ、将来、未来からしたら過去だという今に思い描いた人間に私はなれているだろうか。
やはりどうしても、無理だと思えてしまう。
どうして私は無意味な呼吸をくりかえすんだろう、ふと当てはまるように言葉が降ってきた。
高一の、冬のはじまりだった。
─冬のはじまり─ #127
11/29/2024, 11:58:00 AM