その日、ハッキリしない空模様だった。
普段はハキハキしている彼だが、今日ばかりは違った。
自身の二股がバレたからである。
二股の相手は『晴れ』と『雨』。
二人をキープしたい空模様は、今までは「本当に大切なのは君だけ」とデートを重ねていた
慎重に逢瀬を重ねていたのだが、ついに先日バレてしまう。
そして『晴れ』と『雨』、両方から迫られる。
「どっちを選ぶの?」と……
空模様は悩んだ。
どちらも、彼にとって魅力的だからだ。
カラッとして明るい性格の『晴れ』。
熱血で、元気いっぱいの子である。
クールビューティの『雨』。
物静かで、慈しみ深い性格だ。
二人はお互いに正反対の性格をしているが、それゆえに反りが合わない。
出会えは喧嘩ばかりしており、空模様もそれを知っていたからこそ、隠していたのだ。
だがバレてしまった以上決めなければいけない。
しかしどちらにもいい顔をしたい空模様は、このままハッキリしない空模様でウヤムヤにするつもりだった。
だがそうもいかなくなった
猛暑で苦しんでいる人間から、「ハッキリしない君でいて」と懇願されてしまったのだ。
もしこのままハッキリしない空模様でいれば、人間のお願いを聞いたように見えるだろう。
そして『晴れ』と『雨』から、「私たちより人間を取るのね」と誤解され、両者とも失ってしまうことになる。
恋人を失うのを避けたい空模様は、すぐに決断しなければならなかった。
どうやれば、二人を手に入れられるのかと……
空模様は悩み、悩み抜いて、妙案を思いつく。
そして空模様が出した答えとは――
「ここは一つ、お天気雨でいかない?」
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「うわっ、凄い音!
事故かな?」
「違うよ。
特大の雷が落ちただけさ」
8/20/2024, 12:37:06 PM