虚書/Kyokaki

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【忘れたくても忘れられない】

何で、どうして。
そう思いはしたものの、口が動かない。手が動かない。足も動かない。制御を誰かに奪われてしまったかのように、僕の体は沈黙を保っている。
「だって、ねぇ?そうでしょ?」
目の前でカラカラと無邪気に笑う君の笑顔が好きだったはずなのに、今はなんだか悪魔の下卑たニヤつきにしか見えない。
「大して話さない、触れない、会わない…これって付き合った意味ある?」
「そ、れは、」
「ね。だから、終わり。何かおかしい?」
言葉に詰まる。確かにそれはそうだ。でも、だとしても別れたくない。だって今でもこんなに君のことが好きなのに!
「じゃ、この話はここでおしまい。明日からはまた友達ってことでよろしく。」
「ぁ…」
ここで引き留めれたらどんなによかったか。ここで引き留めれたら何が変わっていたのか。いや、もしかしたら変わらなかったのかもしれない。でも、そんなのはどうでもいい。
「ねぇ、綺麗でしょ?」
「うん、そうだね。」
「うふふ、一緒に選んだかいがあったなぁ。」
純白のベールは君の未来への扉のように。ドレスはそれを支える雲のように。嗚呼、本当に、酷く美しい。
「あ、───さん!」
駆け寄っていった先は僕とは違う男。いつも通り、醜い嫉妬を隠して二人に微笑む。
「お似合いだね。」
「はは、そうだろ?ありがとな。」
お似合いだ。腹立たしいほどに。全く反吐が出る。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

僕を知ってる方はお久しぶりでございまする。生存報告でっせ。
なんて大層なことを言いつつも、ただ気が向いたからここで筆を執っただけなんですけどね。

どうやら昨日はスーパームーンだったらしいですね。ええ、僕も見ましたよ。若干薄い雲がかかってたのか黒に黄色が滲む様はやはり平面上の絵画とは違うな、と思いましたね。
あと私の住んでる地域では金木犀が咲きほこり、胸焼けするようでありながら癖になる甘ったるい香りが漂っております。書いている当時の今も香っていますね。
「秋といえば」というと途端に多岐にわたるのが世間なわけでございますが、私の中で秋といえばこの金木犀の香ですかね。金木犀や銀木犀の香りを認識すると、「もうこんな時期か」、「もうすぐ寒くなるな」など秋や冬の訪れを密かに招き入れる準備をします。
自分の中での季節の変わり目といえば、を考えるのはなかなか楽しいですよ。冬から春といえば梅とか桜になるんですかね?私あまり花には明るくないものですから季節を間違えていたらすみません。

10/18/2024, 6:40:44 AM