佐藤 と塩

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泣かないよ。
決して処刑台に立っても。

これは一国の幼き姫の物語。

私はとてもとても裕福でとてもとても穏やかな生活をさせてもらっています。私のように暮らせていない方が何千人いることも知っています。地に這いつくばって生きている方がいるのもしっています。だから私はこの国をみんなが笑える国にしたいのです。水素9.5%、炭素18.5%、窒素3.2%、酸素65.0%、ナトリウム0.2%、マグネシウム0.1%、リン1.0%、イオウ0.3%、塩素0.2%、カリウム0.4%、カルシウム1.5%、鉄0.005%、その他1.7%これらの成分で人間はできているのです。みんな同じです。みんな同じ成分なのです。それではなぜ人間は身分というものをつくるのでしょうか?それはきっと私たちのような身分の人が裕福をしたいから。私は別に普通でいいのに。

それは突然でした。国民の反乱が起きてしまったのです。王族への反感によってです。他国の洋服ばかり買う母は国民に殺され、子供を嫌う父は馬車で逃亡の後暗殺。綺麗な令嬢ばかりを家に招く兄はその令嬢に毒殺。私は捕まり牢屋生活になりました。見せしめに殺されるみたいです。

ガチャ
ついにこの時が来ちゃいました。私は首を落とされてしまいます。
あぁこの人たちはご存知ないんですね。
私が孤児院や病院に多額の寄付してることも、私のアクセサリーは売ってドレスは街の女の子へ寄付、税を2%下げるよう国会で言ったのも、手作り料理をまだ身分のない方にあげたのも、他国の難民のためのシェルターを作るお金を出したのも全部全部私ということにを
足りなかったのでしょうか。やっぱり国の体制ごと変えないといけなかったのでしょうか。私なりに頑張りましたのに。
私が悪役になって殺されてそれでこの国が平和になるのならそれでいいのです。
周りからの罵倒で私の視界が滲んで来てしまいました。

でも泣かないよ私は悪役でいないと。そう自分に言い聞かせました。

「姫様!!!!」

その声でふと目が冴えてしまいました。
私のことを支えてくれたたった1人の執事。

「姫様は悪くない!最近税が下がったのも、孤児院が増えたのも病院が増えたも、全部姫様のおかげなのに!!誰よりも私たち国民を優先してくださった人なのに。そんなことも気づけていないのか!馬鹿共め!!」

この言葉は周りの雑音で掻き消されてしまいましたが、私には聞こました。ありがとう。私のことを知っている人がいてくれて私は本当に幸せ者です。そうですとも。


『国民どもが!!殺せるものなら殺してみなさい!』

ありがとう。


そう口パクで私は彼に伝えました。


ガチン

3/17/2024, 4:19:02 PM