母の病室では、いつもと変わらない光景が繰り広げられていた。
自分の昔の自慢話しかしない父、母に話しかけながら屈託なく笑う妹、そしていつも寂しくてメソメソ泣く私。
まるで、自分の家のリビングをそのまま病室に移したかのような雰囲気だった。
病院から、母危篤の知らせを受け、駆けつけてから1時間、こんな感じだ。
最初苦しそうだった母の表情がだんだんと落ちつき、半分開いていた目がゆっくりと閉じた。
寝落ちのようなその瞬間だった。
死という終点は誰にでも確実に訪れ、母の場合はあくまでも日常の一コマだった。
家族の団らんを聞きながら、ゴールにたどり着いた。
老衰。生き物として極めて自然な姿だった。
8/11/2024, 1:40:25 AM