「夏の気配」
(※6/27「まだ見ぬ世界へ!」別視点のお話。)
ようやく、どんよりした梅雨が明けた。
朝になると野鳥の声が騒がしく、夜になると田んぼの蛙たちの大合唱が聴こえてくる。
この時期になると、いつも夏休みに泊まりに来る親戚の2個下の妹のことを思い出す。
親から今年も親戚が来ると聞き、俺はすぐに準備に取り掛かった。
毎年、家の近くの自然に連れて行くと彼女はとても楽しそうにしていた。
それが俺は嬉しくて、毎年喜んでもらえるように下調べをしていた。
たまたま親が近くの小川に蛍を見に行こうと誘ってくれて「それだ!」と思った。
あっという間に時間が過ぎ、ついに妹たちが遊びに来た。
「早く早く」と急かす妹をなだめて夜を待った。
目を閉じた妹の手を引いて近くの小川まで連れて行った。
初めて蛍を見たのか目を開けた妹は感動で蛍の光のようにキラキラと目を輝かせていた。
6/28/2025, 10:34:11 AM