『透明な涙』
悔しくて1人河川敷で夕焼けを眺める。
試合に負けた。あと少しで勝てたかもしれないのに
実力不足で負けた。
もっと努力しないと。
でも努力したところでもっと強くなれるのか。
悔しい。悔しい。
歯を食いしばって顔を伏せていると、
後ろから声をかけられた。
「何やってんだ。こんなところで。」
「先生...」
顔を上げて振り返ると顧問の先生に声をかけられた。
知り合いに泣きそうになってるのを見られたのと
よりによって先生だったことがすごく恥ずかしい。
恥ずかしさにすぐ顔を伏せる。
全てを察したのか先生は隣に座って独り言を呟く。
「涙が透明なのは女性は煌めかせるため、
男は泣いているのを知られないためらしいぞ。
先生は泣き虫だからいつ気づかれるか
ドキドキしながら泣いてる。」
下手くそな嘘に顔を伏せながらも思わず笑ってしまう。
安心したせいで涙も出てきた。
鼻をすする音が聞こえたのか先生は
優しく背中を叩いてくれた。
語り部シルヴァ
1/16/2025, 10:16:06 AM